補足

十代宗家 名和弓雄の著書隠し武器総覧(1998年 壮神社)より「おわりにあたって『正木流万力鎖術伝承と宗家廃絶』」より引用

 現在古武術界では、後継者等による宗家争奪の紛争があちこちで起こり、いつ果てるとも思えぬ浅ましい状態が見られる。
 宗家とは一体何であろうか? 果たして、二十一世紀において必要なものであろうか? 外国の人に古武術を普及する場合、体格や腕力の違いから、使用する稽古用具の長さ、太さ、重さなどの変更も考えなければ不合理である。そして最も困ることは、後継の宗家が不勉強で例えば三百種の型を十型しか必要なしとして習得せず、他の二百九十型が失伝してしまうことである。
 また、宗家は健康体の人でなければならない。身体と寿命に自信のない人は、宗家の重責を担うべきではない。また死亡した場合に、技術や教養のない血縁者に宗家を譲ってはならない。それは流儀の前途を危うくする。
 このように考えてくると、宗家制度の不自然さ(古武術に限る)が、どうも二十一世紀にはない方がいいという結論になる。
 私は無能な宗家であったが、宗家制度にかわる新制度をのこして死にたいと思っている。それは江戸時代から行われていた、師範家制度である。
 個人の姓を冠して、○○派○○流師範家を数々つくり、宗家を廃絶することである。勢力の分散、責任の分散、そして絶滅を防ぎ、存続するためである。
 平成十年十月十日をもって、正木流宗家の廃絶を予告し、名和弓雄の死去と共に廃絶する。師範家は目下、人選中である。
 技術優秀で、すべての型に精通し、健康で人格的に師範にふさわしい人で、十代宗家の直接に指導した人の中から、師範家を選びたい。したがって、名和弓雄の死後は、何人も正木流宗家を名乗ることは許されない。
 万一、まぎらわしい肩書きを使用した場合は、悪意による贋物とみなし、重大な詐欺行為と認定する。


 名和弓雄宗家より正式に後事を託され<師範家>として指名されたのは佐野森一・中野齋・中村清恭・瀬山昌弘の四師範のみです。従って正木会継承の各流派の系譜に名を連ねる事を許された者は、この四名の<師範家>以外におりません。

 また上記四師範家のみが正木会継承の各流儀名をそのまま使用出来る他に、特に正木流に関しては、各自の名前を冠した正木流○○派もしくは○○派正木流と名乗ることも許されています。

 例外として先代 名和弓雄宗家の古い弟子である米国人「ジョン・F・クィン氏」は、宗家代行として米国内で「正木流」を名乗ることを許されています(海外で唯一)。